2012年07月31日

徒然読書記録(著者ワ行)

綿矢 りさ「かわいそうだね?」

綿矢 りさ「蹴りたい背中」 



蹴りたい背中/綿矢 りさ

蹴りたい背中

蹴りたい背中


【感想】
まず、題名が秀逸だなぁと思った
「蹴りたい背中」、確かにある

冒頭の「(笑)」が使われている文章には少々驚いたけれど、主人公の孤独感の表現が印象的

著者の、ちょっと穿ったものの捉え方が好き
物事の本質を見抜いているな、と思う

【商品の説明】
「愛しいよりも、いじめたいよりももっと乱暴な、この気持ち。高校に入ったばかりの"にな川"と"ハツ"は、クラスの余り者同士。臆病ゆえに孤独な二人の関係のゆくえは…」




2012年08月02日

かわいそうだね?/綿矢 りさ

かわいそうだね?

かわいそうだね?


【感想】
表題作と、「亜美ちゃんは美人」の二編

読み終えての感想は、

今回の作品は、
今までのものと比べて、彼女の持ち味である毒が少ないな
ということ

ただ、言葉一つ一つに対しての慧眼は健在
普段から鋭い目線で人間観察をし、交わされる言葉たちを自分の中で何度も何度も咀嚼しているのでは…と思った


表題作に出てくる、「かわいそう」という言葉も然り
かわいそう、だなんて確かに他人から言われたくない
「かわいそう」を受け入れると、自分がみじめで、相手より劣っているのだと認めることになるからで、プライドがそれを許さないからだろうか

「かわいそうだから助けてあげる、と嘯いていたときの、うさんくさい自分より、いまの自分の方がよほど好きだ。いまなら、かわいそうという言葉を嫌っていた人たちの気持ちも分かる。相手を憐れんでから発動する同情心は、やはりどこか醜い。みんなもっと深い慈愛を他人に求めているし、自分にも深い慈愛が芽生える可能性を信じている。困っている人はいても、かわいそうな人なんて一人もいない」

「かわいそう」という言葉を発する時、人の顔には一種の優越感が漂う
たぶん、それは「かわいそう」と切っても切り離せないものなんだ


「亜美ちゃんは美人」は、美人な友人との女の友情のお話

想像とおり、ブラック
でも、女性なら思わず
「分かる〜」
と言ってしまうのでは


女の友情とは関係ないが、作中の
「ぼくは、酒の入った人間に説教されることがとにかく嫌だった。非生産的で、堂々巡りで、なにしろ傍目から見てあまりにも醜いですから。でも会社に入って、自分も酒を飲むようになって、酔っ払った上司の話を聞かざるを得なくて、嫌だ嫌だと思っていたのに、ある日突然平気になった。(中略)小さな変化なんです。いままでそうやって周りに感じる齟齬をなくしてうまくやってきたから、必要なギアチェンジでもあるんです。でもふと自分が変わってしまったことに気付くと、さびしい。とりかえしのつかないことをしてしまったと感じるんです。変わって当たり前、自分に正直でいたいなんて、わがままで未熟な考えだ、人はそれを前向きに"順応"と呼ぶ。っもわがままで未熟だからこそ、守りたい部分もある。自分にしか価値の分からない指針を、人の迷惑究極のぜいたくですよね。でもぼくは生きるためにその重荷を一つ一つ地面に落っことして、なんとかちっぽけな気球を気流に乗せ続けている」
という箇所に、共感

社会に出ると、いかに上手く気球を操縦するか、が問われるような気がする

仕事の出来以前の、潤滑油的な面で
実際に、潤滑油になりきれば、仕事が良い方向に進むことは往々にして良くあること

"変わらない"ことの難しさと、
自分にしか価値の分からない指針を守りたい欲求と、それによって派生する弱さと

この台詞部分で、ページをめくる手をとめて、自身について考えてしまった

【商品の説明】
私の彼は元彼女と同棲中……週刊誌連載時から話題を呼んだ表題作と、女子同士の複雑な友情を描く「亜美ちゃんは美人」の2篇収録。

内容(「BOOK」データベースより)
同情は美しい、それとも卑しい?美人の親友のこと、本当に好き?誰もが心に押しこめている本音がこぼれる瞬間をとらえた二篇を収録。デビューから10年、綿矢りさが繰り広げる愛しくて滑稽でブラックな“女子”の世界。




×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。